ムーンライト
あらすじ
マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。そんな中、シャロンは同性のケビンを好きになる。そのことを誰にも言わなかったが……。
まず4月下旬公開予定だったものを一ヶ月早く公開してくれることに感謝。
ラ・ラ・ランドを破り「アカデミー賞作品賞受賞のムーンライト」の期待度も自然と
上がる。
その期待度を優に超えていったし。とても情熱的な作品でした。
感想・レビュー
哀しく、痛くて、残酷で、でもとても美しい愛の物語。
映像
美しい映像「ラ・ラ・ランド」にも負けない映像美。
話とは正反対に映像はとても美しい。
月に照らされる浜辺、綺麗な海、青黒く光るシャロン、美しい映像の数々。
低予算ながらにこんな美しい映像。監督のこだわりが見て取れるカメラワーク。
非常に青色が印象的な映画だが
着ているTシャツ、ズボン、靴、壁の色、青以外の色にも意味がある。
どうしてあそこがあの色なのか。色々想像でき、細かい所まで気を使った演出をしてる。
ちなみに下のシーンもシャロンが着ている服は「赤色」フアンが履いているズボンは「オレンジと青」上のポスターは青・赤・青と色が違う。
自分なりの答えは見つかってますが、ネタバレにもなるので詳しくは書きません。
「色」に注目して観ても面白い映画。
音楽も非常に印象的
シャロンが今何を考えているのか、心の感情はどんな状態なのかってのを
言葉で表さないで音楽と言う力でシャロンの心の状況を表してる。
フアンとの海、綺麗な海の映像が映されるなか、音楽はどこか不安な音楽が流れる。
フアンがシャロンに「悲しみを洗い流せと」シャロンの「行き場のない思い」「思春期の迷い」など「ヒシヒシ」と伝わってくる感情に拍車をかける。
一番心に響いた言葉
シャロンを優しく包み込む麻薬ディーラーのフアンの存在がこの物語に引き込ませる。
「自分の道は自分で決めろよ。周りに決めさせるな」って言うセリフも
大きなテーマでもあると思うし。私自身にも強く響いた。
自分も流されて生きてきた人間なんだなってのを再認識させられた。
演技
全出演者、素晴らしい演技でした。
一人の男を演じた3人(少年、青年、成人)一人ひとりの演技力、素晴らしい。
目だけで語る演技。何かを言いたげな表情、言葉の間、発し方まで3人とも同じように演じている。
セリフも少ないのに感覚的にこちらに語りかけてくる素晴らしい演技。
マハーシャラ・アリの存在感
麻薬ディーラーのリーダーとして恐々しい存在なのに、シャロンと出会い
父親としての顔、人生という泳い方を教え、時にある事に悩み。
その一つひとつの表情が非常に印象的だ。
彼の存在がこの映画をより引き立てている。
映画としての面白さは「ラ・ラ・ランド」の方が個人的にはあったかなと思います。
でも、ムーンライトの方が心には残りましたし、こんなに言葉にできない映画は初めてです。一生忘れることのない映画。
つか25日間だけで撮影したとか凄すぎ。
ケヴィンスペシャルはあんまり美味しくなさそうだった。(笑)